宅配ボックス・宅配ロッカーが発明されてからの歴史
戦後の高度経済成長にともない、都市部では多くの集合住宅が次々と建設されました。同時に、社会保障制度の整備・発達により小家族化や女性の社会進出の傾向が顕著になり、人が住居に在宅する時間や割合が次第に減少していくことになります。
1980年代半ば、運輸・物流環境のめざましい発展の流れの中で登場した「宅急便」が広く一般に普及すると、集合住宅では、受取人不在で管理人室へ荷物が預けられるケースが急増しました。中元、歳暮のシーズンには、集合住宅の管理人室は足の踏み場のないほどの受取人不在荷物で埋め尽くされたと言います。くわえて、あずかっていた荷物が紛失したり、盗まれたりと管理側と住民との間のトラブル発生が絶えないようになりました。
状況を憂えた株式会社フルタイムシステム社長・原幸一郎氏は、「管理人の負担なく、マンション住民が快適に暮らす方法はないものか?」と考え、「24時間集中体制で監視できる管理人代わりのロッカー」 を開発。晴海の「グッドリビングショー」の展示会に出展、NHKテレビでの紹介をうけて各方面から大きな注目を集めることになったのが1984年。これが宅配ボックスの誕生でした。
その後、1986年に日本で最初の宅配ボックス1号機が発売されることになります。これは、コンピュータ電子機器を搭載した最新技術を駆使した宅配ボックスで、24時間365日遠隔監視、 遠隔管理できるオンラインシステム管理方式のもの。当初は認知度が低かったものの、1990年頃には、都市型マンションでアクティブに暮らすライフスタイルが人気となり、荷物を自宅で待たなければならない時間の制約や留守にして受け取りそこなった荷物の不在通知を配達業者に届ける手間、不在時に荷物を隣人に預かってもらうことでかかる周囲への迷惑、などといった様々な不自由からの解放を願う多くの世の声を背景に、宅配ボックスはその高い利便性が認められて幅広い認知を獲得することになります。
マンションの性能がより重視される傾向が強まったバブル崩壊後には、宅配ボックスは市場にますます定着をします。1993年には、宅配ボックスがBL認定品(財団法人ベターリビングによって優良住宅部品としての認定を受けた商品)となり、今後の宅配ボックスの普及展開をするうえで「宅配ボックス委員会」が発足。1995年には、旧郵政省によって「宅配ボックス設置協力謝礼金制度」が新たに設置され、宅配ボックスの普及はさらに加速の一途をたどります。
留守時に配達された荷物を代わって受け取る便利な設備というだけでなく、いろいろな業者が外部から出入りすることを防ぐセキュリティ面からも現代マンションに標準装備として設置されるようになった宅配ボックス。やがて多くの需要を背景に、複数メーカー間の競売が開始され、 市場拡大展開での低価格競争に突入。2000年を過ぎてからは、 「集合住宅用」のほかに「戸建住宅用」も登場し、稼働形態上の分類として「機械式」「電気制御式」、さらに「電機制御式」の中でも「オンライン式」「オフライン式」に分かれるなど、用途や住宅設備の仕様に合わせて宅配ボックスの種類も細分化されました。現在では付属するサービスやカラーバリエーションなども豊富にそろい、多種多様のニーズに応える形で実にさまざまな宅配ボックスが市場に出回るようになりました。 |